2015年02月20日

契約の当事者

 契約に関するトラブルの相談を受けた場合、まずは契約書の有無とその内容を確認しますが、契約当事者に関して問題が発見されることがあります。

 まず、よくあるのが、甲乙間で締結した契約書の中で、例えば、「丙は、甲の乙に対する債務を保証するものとする」という条項が定められていることがあります。
 これの何が問題なのでしょうか?

 結論から言うと、甲乙間の契約では丙に対して効力を及ぼすことは出来ません。甲乙間の契約は、あくまで甲と乙に効力が生じるものであり、第三者には及ばないのです。
 考えてみれば当然ですが、仮に、丙が、甲乙の契約を知らなかったにもかかわらず丙に効力が及ぶとしたら丙はたまったものではありません。
 丙に契約の効力を及ぼしたいのであれば、丙にも契約書に署名捺印してもらう必要があります。

 そして、このことは、丙が甲乙の契約を知っていた場合でも同様です。丙に効力を及ぼしたいのであれば、丙がその契約の内容を知っていれば足りるということではなく、丙にも署名捺印をしてもらいましょう。


 次によくある勘違いは、法人とその代表者についてです。
 例えば、甲が法人乙に対して金銭を貸し付けたとします。
その後、法人乙が契約通りに返済してくれない場合、甲は法人乙の代表者丙に対して請求することは可能でしょうか?
 法人乙とその代表者丙は別の存在(法律上は「別人格」と言います)とされていますので、甲は丙に対して請求することは出来ません。

 この点を勘違いして、代表者丙からお金を返してもらいたい、返してもらえるはずだ、といった相談がときどきあります。
 また、契約の相手方が、法人なのか代表者なのか曖昧な契約書を見たこともあります。
 トラブルの原因になりますので、例えば、契約相手を法人乙と明確にした上で、代表者丙からも回収したいのであれば、連帯保証人として丙個人の署名捺印ももらうという定め方をすべきです。


 このように契約内容だけでなく、契約当事者が誰なのかという問題も大変重要です。
 当事者を間違っていると、内容的にしっかりとした契約書を作成しても、何の意味もなかったということにもなりかねません。十分注意して頂きたいと思います。


白土文也法律事務所は、遺言・相続などの個人の法律問題、中小企業・ベンチャー企業の法律問題を中心に取り扱っております。
調布・稲城・府中・狛江・三鷹など多摩地域・京王線沿線、世田谷区その他の東京23区、茨城県その他の関東各地からの法律相談を受け付けております。
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posted by bunya-shirato at 13:06| 契約

2015年02月11日

契約書と覚書

 契約書、覚書、合意書、念書、誓約書など、法律に関する文書には様々な表題のものがありますが、これらの文書は何が異なるのでしょうか?
  
 「覚書は契約書よりも効力が軽いものである」「覚書は契約ではない」
 ときどき、このような発言を聞くことがありますが、これも契約に関する誤解のひとつです。
  
 契約か否かは、文書の表題によって決まることではありません。
その内容が、当事者間の権利と義務を定めているものであれば、表題が覚書であっても、実質的に契約書であり、効力は契約書と同じです。
 覚書以外の、合意書、念書、誓約書などでも同様です。

 したがって、実務上注意すべきことは、その表題が契約書ではなく覚書などであっても、安易に署名捺印せずに、慎重を期すべきということです。覚書に過ぎないと言われても内容を十分に検討した上で署名捺印して欲しいと思います。

 ところで、中小零細企業間の取引においては、契約書を交わすことに難色を示されたり、あるいは、取引相手に対して契約書を提示することに抵抗を感じる場面がそれなりにあるのも事実です。
 私の経験で言えば、そのような場合、文書の表題を覚書や念書などにするだけ話がスムーズに進むことがあります。
 後のトラブルを予防するためには、口頭の契約は可能な限り避けるべきですので、契約書を交わすことに難色を示された場合などは、表題を覚書などにして、また、場合よっては、内容も必要不可欠な項目だけを定め、書面を交わした上で取引を開始すべきでしょう。あくまで私の経験に過ぎませんが、そこまですればほとんどのケースで書面を交わすことは可能だと思います。これは、「覚書は契約書よりも効力が軽い」という誤解あるいは印象をうまく利用した方法です。
 そして、仮に、そこまでしても、書面を交わすことに難色を示されるのであれば、取引はしない方が無難だとも言えます。

 今回は、文書の表題に関する話でした。


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posted by bunya-shirato at 22:00| 契約