2015年03月26日

弁護士にとって交渉はやりがいがある

 弁護士の仕事には交渉が欠かせません。


 会社であれば、ニュースで話題になるような企業買収などの場面だけでなく、契約交渉や債権回収など、日々の企業活動の場面でも交渉は不可欠であり、それらの交渉案件を依頼されることはよくあります。
 また、紛争になり、訴訟を依頼された場合でも、いきなり訴訟を提起するのではなく、訴訟を視野に入れつつ、一旦は交渉による解決を目指すこともあります。
 実際、私が抱えている案件でも、交渉案件は数多くあります。

 
 ところで、弁護士はどのように交渉を行うのでしょうか?
 強気で交渉を行い、決裂すれば訴訟で結構というやり方(相手によってはそのような交渉が適切な場合もあります)や、安易に間を取って合意するやり方もあるとは思いますが、弁護士の仕事を、依頼者の問題を解決することだと定義すれば、強気一辺倒の交渉はもちろん、足して二で割るような安易な交渉は、決していい結果を生まないはずです。


 訴訟はコストも時間もかかる上、判決になれば勝ちか負けのみで、柔軟な解決は出来ませんし、足して二で割るのも、単なる譲歩に過ぎないことも多いです。
 お互いが満足できる解決策を見出すために知恵を絞って交渉することが求められている、というのが私の考えです。


 例えば、契約交渉の場面でいえば、協議する事項は、契約金額だけではありません。
 企業間の売買契約書を見ても、金額に関するものでも、支払時期や分割払いの可否、代金以外の費用負担など様々なものがありますし、その他にも危険負担、瑕疵担保責任、保証などなど、金額以外の条項の方が圧倒的に多く、それだけ交渉する事項はあるのです。
 金額だけで交渉すれば、安いか高いか、勝ちか負けかという結果になってしまいますが、実際は、企業が関心を持っているのは、金額だけではなく、お互いが満足できる案を探る余地はたくさんあるはずです。


 また、契約交渉とは異なり、紛争になり、今後は関係が維持出来ないような相手との交渉でも、お互いにとって良い解決策を見出すことが大切です。
 紛争の場面では、感情的に相手を許せないのは理解できますが、相手をやっつけるという思考ではなく、相手も応じやすい、相手にもメリットのある解決策を見つけ出すことが、結果的には問題解決につながり、依頼者にとって満足につながることは多いのです。


 ところで、弁護士として難しいのは、そのような思考・姿勢が、ある依頼者にとっては、頼りない弁護士、あるいは、相手に味方している弁護士に見えてしまうリスクがあることです。
 強気で相手を追い込むような姿勢、交渉を早めに終わらせて訴訟提起する姿勢、訴訟上でも和解を拒絶し、あくまで判決を求める姿勢が頼もしく見えてしまうのでしょう。
 個人間の紛争に限らず、企業間紛争でもありがちです。特に、中小・ベンチャー企業のオーナー社長の中には、自信があり負けず嫌いな方もいらっしゃいますので、弁護士としては理解を求めるのに苦労する場面です。
 そこは、依頼者と弁護士との信頼関係や丁寧な説明が求められているのだと思います。


 このところ交渉案件が多かったため、書いてみました。
 交渉はとても奥が深く、弁護士として知恵を絞る場面が多く、やりがいも感じます。今後も研究していきたいと思っています。




白土文也法律事務所は、遺言・相続などの個人の法律問題、中小企業・ベンチャー企業の法律問題を中心に取り扱っております。
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posted by bunya-shirato at 18:32| 日記

2015年03月02日

契約書の雛形や書式の注意点・デメリット

 契約書を用意しなければならない場合、市販の契約書式集や、インターネット上からそれらしい契約書を見つけて来て、利用することもあるのではないでしょうか。
 今回は、契約書の書式・雛形を利用するときの注意点・デメリットに触れたいと思います。

@ 契約の実態に整合しない
 日々、契約書チェックの依頼を受けていますが、契約書案だけを送ってきて、とりあえず見て下さいという頼まれ方をすることがあります。しかし、実際にお話を伺い、どのような取引・ビジネスをしようとしているのか確認した上でないと、その契約書案が取引・ビジネスの実態に整合しているのか判断出来ず、チェックを進めることは出来ません。

 実際、お話を伺うと契約書案とは全く異なる取引・ビジネスをしようとしているケースは本当によくあります。販売店なのか代理店なのか、委任なのか請負なのか、簡単な契約類型でも間違った書式を使っていることは多いのです。

 仮に、専門家のチェックを経ることなく、間違った書式・雛形を利用していたとしたら、後のトラブルを防止することが出来ず、契約書を交わす意味がなかったということになりかねません。


A 当事者の一方に有利な内容
 書式集では、甲と乙のどちらか一方の立場に立って作成されている場合もよくあります。自らに有利か否か判断できるでしょうか?
 自らに不利な書式を用いて契約書案を作成していることも頻繁にある話ですので、注意して頂きたいと思います。

 特に、書式集を利用するのではなく、インターネット上で見つけた、何となく使えそうな契約書をアレンジした場合は要注意です。書式集を注意深く読めば、どちらが有利な書式か説明されていることもありますが、インターネット上で拾ってきた契約書にはそのようなことは書かれていません。


B 追加すべき条項が分からない
 書式集は、あくまでも書式集ですから、自らが行う取引・ビジネスに特有な問題を解決出来る条項は記載されていません。
 しかし、実際の取引・ビジネスは、様々であり、契約書式と全く同じ取引・ビジネスはないと言っても過言ではなく、契約書を作成する以上は、それらの特有の問題を意識して追加・修正をする必要があります。

 ところで、書式集に記載されている条項が不要であったり問題がある場合に、それを削除したり修正することは、ある程度の法的素養がある方であれば気付くことが可能かもしれません。しかし、記載されていない条項を追加すべきという判断は、一般の方ではなかなか出来ないように思います。

 以前、ある公認会計士の方と話した時、契約書案に記載されていることの問題点には気付くが、追加すべき条項が何かを判断するのは難しいとの話を聞きました。公認会計士の方でも、そのようなことがありますので、ましてや、一般の方であれば、気付かないことが通常ではないでしょうか。


C 内容に問題がある
 古い書式集やインターネット上で拾ってきた契約書には、法令の改正や判例の変更に追い付いていないものも散見されます。
 法律の世界は動きが遅いという印象を持たれている方も多いと思いますが、実際は、法改正や判例変更は頻繁に行われており、それが契約実務にも影響しているのです。


 以上の通り、契約書式を利用する場合には注意すべき点やデメリットがありますので、その点を十分に知ったうえで利用して頂きたいと思います。



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posted by bunya-shirato at 18:47| 契約