2015年10月29日

契約用語を正確に理解するのは難しい

1 契約用語と日常用語の違い

中小企業の場合、取引先との契約書を、弁護士にチェックしてもらうことなく、経営者自身がチェックしたり、社内の(特に法務部員ではない)担当者がチェックすることは多いと思います。

確かに、M&Aに関する契約書や英文契約書等でなく、通常の取引に関する契約書であれば、日本語ですし、目を通せば何となく理解できるように思えます。
  
しかし、契約用語は、日常用語よりも厳格に使われており、契約書を読んで分かったつもりになっていても、実は理解できていないのに署名捺印しているということも多いように思います。

実際、経営者や会社担当者から相談を受けると、契約用語を間違って理解しているということも度々です。



2 直ちに・速やかに・遅滞なく

例えば、これらの用語の違いについて日常会話で気にすることはないと思いますが、契約用語として用いるときは、異なった意味で扱われます。
 (これらの契約用語については、いろいろな場面で解説されているので、もはやご存知の方も多いかも知れません)

「契約用語の使い分け辞典」では、以下のとおり解説されています。


「いずれも「すぐに」という意味で用いられる副詞で時間的間隔を置かないこと(即時性)を表している点で共通するが、その程度には次のような差がある。
  「直ちに」は、時間的間隔を置かずに即座にの意。
  「遅滞なく」は、合理的理由に基づく遅延は許されるものの、時間的にすぐにの意。
  「速やかに」は、できるだけ速く、という意味での訓示的表現。」

  
このように異なった扱いがされています。
また、その時間的即時性の強弱については、「直ちに」が最も強く、「速やかに」、「遅滞なくの」順で弱くなっていくと解説されています。



3 契約書の作成・チェックは難しい

以上の通り、日常用語としては理解出来たとしても、その用語が契約書に用いられている場合、意味を正しく理解しているとは限りません。
むしろ、正確に理解しないまま、作成・チェックし、署名捺印していることが多いと思われます。


いつも思うことですが、軽い風邪ならともかく、病気を自分で治療できると思う方は少ないと思いますが、法律に関しては、日本語が読めるせいか、自分で対応できると思っている方が多い印象を受けます。

しかし、契約書の用語一つにしても、専門知識がないと、正しく対応することは難しいというのが実際です。

今日は、「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」という契約用語を例にして、契約書作成やチェックの難しさについてお話致しました。



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posted by bunya-shirato at 21:39| 契約