2015年12月28日

株券発行会社の株式を譲渡するには株券の交付が必要

株式譲渡を行う場合、中小企業の多くでは、株式譲渡契約書を作成するだけで終えてしまっていることが多いのではないでしょうか。
しかし、それだけでは、有効な株式譲渡になっていない可能性があります。

1 取締役会の承認

通常、ほとんどの中小企業は、いわゆる非公開会社ですので、株式の譲渡について、取締役会において譲渡承認が必要になります。

ちなみに、非公開会社とは、株式を上場していない会社という意味ではありません。
会社法上、非公開会社とは、公開会社でない会社、すなわち、定款で、全部の株式について譲渡制限を設けている会社のことです。

そもそも、普段から取締役会議を開催しておらず、議事録も作成してない中小企業が多いように感じますので、注意が必要です。
 

2 株券発行会社の場合

また、2006年の会社法施行以降も、定款を見直していない中小企業が多いと思いますが、その場合、株券発行会社として登記されている可能性が高いと思います。

そして、会社法上、株券発行会社の場合、株式を譲渡するには、株券を交付しなければならないとされています(会社法128条1項)。
 
ここで、株券発行会社とは、株券を発行する旨を定款で定めている会社のことですので、実際に株券を発行しているか否かは関係ありません。

したがって、定款で株券を発行する旨定めているが、実際には株券は発行されていない会社の場合、株券がないにもかかわらず、株式の譲渡の際には、株式を譲渡する旨の意思表示(通常は、株式譲渡契約書を作成します)だけでは足りず、株券の交付まで求められるのです。

もし、株券を交付していなければ、その株式譲渡は、原則として無効ということになります。

実際、株券発行会社が、株券の交付をせずに、過去に何度も株式譲渡を行ってきたというケースについて、会社外部の第三者に株式を譲渡する場合に指摘されて、初めて問題に気付き、ご相談頂くことがあります。
過去の株式譲渡が無効ということになれば、現在の株主は法律上株主ではないことになり、第三者に有効に株式譲渡が出来ないということになりかねないからです。

株券不発行会社にするためには、定款変更と登記手続きで解決できる問題ですので、ご自身の会社が株券発行会社になっている場合(株券の発行は登記事項ですので、登記を確認すれば分かります)、株券不発行会社にすることを検討してみてはいかがでしょうか。
 


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posted by bunya-shirato at 12:02| 企業法務